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…ボスは、そのXを捕まえろと言う。 元・Xが現・Xを捕らえるという皮肉たっぷりな命令。 「…!」 ページを捲り続けたラスト、手書きで記された文字に視線が集中。 ("X、真の目的は何か?"…だと?) Xには、それ以外の目的があるとでもいうのだろうか。 しかし、このニュアンス。 まるで今までの犯罪がカモフラージュだと言っているよう。 (…クソ、混乱させるつもりか!) ボスは度々俺を試す。 これもその一貫ならば、相当タチの悪い冗談だ。 今までのイメージをすべて消し、最初から人物像を描いていけと言っている。 …ここ数年の苦労を消せ、と。 犯罪者というものは、大抵、成し遂げなければならないという信念の元に行動する。 なぜ罪を犯したのか、その理由やきっかけがあるものなのだ。 Xに関しては、表向きは素晴らしい理由付けで動いている。 ボスはその理由に納得していない様子。 (…いや、ボスというより…) 思い描いた人物は、ボスの腹心の部下。 恐らく、あの頭脳明晰な切れ者の考えだろう。
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