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いろいろと考えることはあるが、とりあえずはBeeが江原チカより優先だろう。
江原喜美子について館長が触れなかったということは、恐らく俺の考えが当たり。
江原学は嘘をついておらず、アンドロイドの件も予想通り。
盗聴器で聞いていた館長は即座に確かめたはず。
身なりはサラリーマン風。
ちゃんと外務省の証を着用すると、髪を決めて眼鏡をかける。
それから向かった先は、俺が日本刀で切り刻んだ"ボス"のアジト。
そこは既に更地になっており、辺りは外灯一つない暗闇。
「…来たな?INEVITABLE.」
「……………」
「何?それがお前の本当の姿か?」
「……………」
「何とか言ったらどうだ?」
「…どいつもこいつも無駄口が多い。」
「…プッ!アハハハ!いい!いいぞ!」
「うるせぇ。…で?お前の組織ってなんだ。ボスはどこの誰だ。目的は?」
「臥竜。峰岸という。聞いたことくらいはあるだろ?」
「臥竜の峰岸、ね。あれだけ有名な指定暴力団だからな。…断る。」
「え!おいおい!」
「表向きが賑やかなところは裏社会の人間に不向きだ。しかも、俺が欲しいならその峰岸から直接接触してこいって話だ。」
不信感を抱かずにはいられない。
この"毒蜂"、いろいろと隠していることが多すぎる。
辺りに潜む人影
ポケットから出さない左手
耳にあるBluetooth
そして、この獲物を見ているような目
「…そりゃ、俺しか知らないから。このオファーは俺の独断だ。」
これはキナ臭い。
…さて、どうするか。
乗るか、逃げるか。
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