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炙り出された文字はどこかの住所。
それを見て車を走らせ、近場のアジトへ向かって外見を変える。
変装が終わると、見計らったように携帯が鳴り響いた。
「…はい。」
『俺だ。分かっているな?』
「……………」
『文字通り"炙り出せ"。すべてだ。』
「……………」
『INEVITABLE.お前の手で終わらせろ。』
「……ラジャ。」
…なるほど。
どうやらBeeは"炙り出し要員"。
俺のボスはそう判断したらしい。
ならばこの住所に行けば罠に嵌まる。
その罠に掛かってこいとのお達し。
(…見えてきたな…)
Xを中心とした組織図。
紛れもなくある目的のもとに構成された組織であり、そのトップとなる人物像が浮き彫りになってきた。
恐らくボスは知っている。
それを俺に告げないのは、この身体にあるブツで漏洩を防ぐためだ。
マスクを被った俺の姿を鏡に映し、数秒間それを見る。
そして口を開く。
江 原 チ カ を 誘 き 出 す
音のない空間。
鏡に向かって口を動かし、首を縦に一度。
それからアジトを出て、罠があるであろう住所へと車首を向けた。
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