7

7/17
前へ
/255ページ
次へ
炙り出された文字はどこかの住所。 それを見て車を走らせ、近場のアジトへ向かって外見を変える。 変装が終わると、見計らったように携帯が鳴り響いた。 「…はい。」 『俺だ。分かっているな?』 「……………」 『文字通り"炙り出せ"。すべてだ。』 「……………」 『INEVITABLE.お前の手で終わらせろ。』 「……ラジャ。」 …なるほど。 どうやらBeeは"炙り出し要員"。 俺のボスはそう判断したらしい。 ならばこの住所に行けば罠に嵌まる。 その罠に掛かってこいとのお達し。 (…見えてきたな…) Xを中心とした組織図。 紛れもなくある目的のもとに構成された組織であり、そのトップとなる人物像が浮き彫りになってきた。 恐らくボスは知っている。 それを俺に告げないのは、この身体にあるブツで漏洩を防ぐためだ。 マスクを被った俺の姿を鏡に映し、数秒間それを見る。 そして口を開く。 江 原 チ カ を 誘 き 出 す 音のない空間。 鏡に向かって口を動かし、首を縦に一度。 それからアジトを出て、罠があるであろう住所へと車首を向けた。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1135人が本棚に入れています
本棚に追加