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「…遅かったなINEVITABLE」
「…途中、ついでに仕事を一つ終わらせておきたくてな。」
「座ってくれ。」
「ああ。」
指定された住所は、港の近くにある大きな倉庫。
犯罪者が好んでアジトにするような場所だ。
建物の中はだだっ広い。
荷物は壁に寄せられ、何もない中央部にソファとテーブルがあるくらい。
出入り口は1ヶ所のみ。
……いや、俺からすれば6ヶ所か。
周りに気配は何もない。
促された場所に座ると、Beeはこう切り出した。
「INEVITABLE.…お前、江原チカを捜しているだろ?」
的確な問いだな。思わず笑うところだった。
意識を一点に絞り、「ああ」とだけ告げて意を示す。
「俺が会わせてやる。」
「…は。…裏がありそうだな。」
「ああ。その代わり、こいつを殺してくれ。俺はいくら仕掛けても殺せなかった。」
「江原チカに会った後でなら引き受けてやる。」
「ああ、それでいい。Xに関しては、こいつが一番の近道だ。」
「お前は会ったことがあるのか。」
「ある。と言うか、こいつの命令を受けてきたというのが正しいだろう。」
「…臥竜の峰岸じゃないのか。」
「…察しろ。」
…臥竜はXの手下。そういうことか。
指定暴力団という立場を生かし、表立った派手なことは任せられる。
注意を逸らし、裏では…という寸法。
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