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見据えた敵がガキであろうと、俺に油断の文字はない。
最大限にアンテナを伸ばし、警戒を強めて対峙する。
「声のわりにはおじさんだね。やっぱり変装してるんだ?」
「……………」
「久し振りだったよ。チカが人に負けたって思うこと。…チカが依頼したとき、噂の殺し屋さんを見れると思ったのに。」
「自分も姿を見せないのに、なぜ俺が見せる?必要性を感じない。
しかも10歳のガキが父親を殺せだと?正気の沙汰じゃない。」
「だって、邪魔だもん。」
善悪の識別が出来ないガキか?
…まさか。
こいつはハッキリとした目的で依頼した。
それが分かってある意味安堵した。
どうやら江原学の依頼を完遂出来そうだ。
「INEVITABLEに聞きたいことがある。立ち話も嫌でしょ?中に入ってよ。」
これまた嫌味ったらしい顔で笑い、上から降りてきた江原チカ。
倉庫内に入ると、ぐるりと見回し二時間前との変化を探す。
そして周辺のチェックも。
「…ククッ…所詮、ガキだな江原チカ。」
「…どういう意味?」
「俺が恐怖か?人間が多すぎる。」
ソファの周りにはBeeの他3人。
それ以外の気配が物陰に数人。
両手じゃ足りないほどの数だ。
「別に怖くはないけど?」
「そうかよ。」
「なにそれ。」
「別に。」
言葉遊びを繰り返し、主導権はとりあえず俺が握った。
ブスッと頬を膨らませながら、対面する俺の前のソファに座る江原チカを見る。
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