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こんなガキ、やろうと思えば簡単に殺れる。
考えずとも一捻りだ。
だが、Xの情報を持っている限り、殺るのは後回し。
「答えてくれるんじゃないのか。」
「誰が全部に答えると言ったの?」
「お前が言い出したことだろ。用事は何?と言った時点で権利は俺、義務はお前。」
「……………」
「長考するまでもねぇだろ。どこにあるか聞いているだけだ。」
「……………」
「裏なんかねぇぞ?単純な疑問だ。ママを殺して代替えさせて何してるって話。」
「…ママを殺した?」
「何だ。知らないのか。お前のボスはお前の大好きなママを既に消してるぞ。」
ここで更なる表情変化。
どうやら事実は隠蔽されたまま。
…それはこっちも予想外だが、江原チカはこの事実で思考を停止させるほど甘くないだろう。
俺と対等と考えるべき。
事実は自分で確かめるまで信じない。
「動揺させるにしては甘いね。」
「別に動揺を誘った訳じゃない。事実、俺が殺す前に江原学が言ってたことだ。」
「信じない。」
「信じる信じないはお前の勝手だ。教えろよ江原チカ。アンドロイドはどこだ。」
「……択捉だけど?それが何?」
「別に。聞いてみただけだ。」
使用方法は粗方予測はついている。
とりあえず場所が分かれば回収は簡単。
狙いはこれだ。
人間、瞬間的な動揺で思考をフル回転させると、自然に事実を述べる。
裏を読む癖がついている人間ほど、自分の仕掛けたものを悟られないようにするため、それは驚くほどハマっていくものだ。
"択捉"という答えはその典型。
Beeの言葉によれば、こいつが択捉から来たからだ。
薄目になってBeeの足元に視線を送れば、極々小さなの苛立ちを見せた。
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