INEVITABLE

7

瞬間、鳴り響いた着信音。

いいところで…と舌打ちし、立ち上がって数歩離れる。

「なぁに？逃げるの？」

「逃げる？俺が？愚問だな。」

「INEVITABLE.それって大倉さんからのメールじゃない？アタリ？」

「……………」

「アハハ！アタリなんだ！」

「大倉に何をした。」

「別に？ただ、INEVITABLEご執心って思っただけだよ？だからおじさんたちをいっぱい連れていってって言ったの。」

黙ってそれを聞き、その場で5秒。

携帯をしまい、出口に向かって歩く。

その背にクスクス笑い声を受けながら。

「…おい！どこ行くんだ！」

「……………」

「INEVITABLE！！マジで逃げる気か！」

俺を追ってきたのはBee。

叫びながら俺に追い付き、肩に手を当てる。

(もう少し角度が…)

辺りの気配が俺らを見ている距離では話にならない。

手を無視して進み、倉庫と倉庫の隙間に入ったところで反転し、Beeの肩を掴み腕を上げて押し込む。

急な反転はBeeを易々と壁に貼り付かせ、腕は首を捉えた。

そこで携帯を再度取り出し、ファイルから一枚の写真を呼び出す。

「…ここに来る前、所用で遅くなっただろ。見ろ。お前の依頼を遂行してただけだ。」

「……マジか！」

「で？お前はどっちの味方だ？あ？」

「…どういう意味だ。」

「X？江原チカ？俺？今すぐ選べよ毒針のBeeさんよ。」

「…依頼、遂行されたなら…ｹﾞﾎｯ…お前だろ！」

(まぁ、ボスや次長たちを殺したのは、依頼前の話だがな)

心で呟くと、樮笑んだ。