1135人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいだろう。」
そう言いながら、俺は腕を緩めた。
少し噎せながら大きく息をし、涙目になったBeeが俺を見上げた。
「お前の依頼を俺は遂行。俺の依頼もお前は遂行。これでイーブンだ。
ならここからどうする?お前のご主人様に仕え続けるのもいい。だが、所詮殺し屋のお前は邪魔になる。」
「…お前、どこまで知ってるんだ?」
「さぁな。とりあえず今言えることは、お前のご主人様はお前を殺す方向で事を進めているのは事実だ。」
「……………」
「…知っての通り、俺には強力なバックアップがついている。」
「…契約者たちか!」
「俺に情報を流す代わり犬になる。そうすることで互いの命は守られるし組織も然り。
今送られてきたメールだ。見ろ。」
そう言いながら、送信者"K"のメールをBeeに見せた。
Beeは目を大きくし、暫く凝視したのち俺を見据える。
「INEVITABLEが会いたいと言ってる、それだけでここに来るガキじゃねぇだろ。お前、何で釣ったんだ?」
「……………」
「答えろBee。」
「…江原喜美子に、会わせると。」
「…なるほど。お前は江原喜美子が殺されたことを知ってたんだな?そして江原チカがそれを知らなかったことも。」
「…ああ。」
恐らく江原喜美子殺害の張本人はこいつだろう。
…いや、X本人か?
いずれにしても確定した江原喜美子殺害を、江原チカが納得するよう仕向けるのが手っ取り早い。
「…まぁそれはいい。今の問題はこれだ。お前に意味が理解できるか?」
携帯を振り、メールであることを示す。
Beeはそれを考える様子。
最初のコメントを投稿しよう!