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食い付け。
食い付け。
頭でそう繰り返し、更に加える罠。
「事の発端はある人からの依頼だった。
殺し屋なんて、一介の外務省職員の俺が何故?とずっと断っていた。
しかし、外務省だからこそ見えてくる悪事は多々あった。義憤に駆られたこともな。」
「……………」
「そんなときに美和子と出会い、付き合い始めた。
そして言われたよ。
『お前はこの彼女も見殺しにする事態になりかねないのを防ぐ義務があるんじゃないか?』と。
『事は外交問題と深い関係がある。お前の担当地域だぞ』ともな。」
「……誰に?」
「ある殺し屋だ。それが俺のボスになった。」
「……ふーん。で?」
「俺の目的は美和子を守ることだと言えば、単純な方がやり易いと笑っていた。
…そこからXと名乗り、後にINEVITABLEとなった。」
「Xってあなただったの?」
「今のXが出てくる前までは。
国籍、年齢、性別。あらゆるものが不詳のまま正義の名のもと殺人を繰り返す正体不明の人間をXと呼称するのも頷ける話だがな。」
「Xってそういう意味だったんだ。」
「お前が分からないはずないだろ。」
「チカ、算数に出てくるようなものだと思ってた!」
…同じ意味じゃねぇかと突っ込みたくなるが、そこは堪えて勝利を喜ぶべきだ。
…何せ、このIQ娘が食い付いたのだから。
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