1137人が本棚に入れています
本棚に追加
「そこからの俺は調べてあるんだろ?知っての通りだ。」
「知らないよ?教えて?」
…わざとらしい一言。
しかしそれも俺とこいつの駆け引き。
面倒なことも丁寧に処置していってこそ、完全勝利は掴めるものだ。
欺くか。欺かれるか。
「…俺には守護天使がついてるからな。お前との駆け引きに負けるはずがない。」
「チカ、それも知ってる!挑発っていうんだよね!」
「…フッ。そうだ。お前の思惑に乗ってやるよ。
俺はとにかくXを捕まえることが目的だ。名を盗られた人物が、一体どんなツラして殺しをやっているのか知りたかった。
そのためにいろんな組織にINEVITABLEとして名を広がらせた。
手始めに、"殺し請負"を口コミで広まらせた。」
「口コミ…随分原始的なやり方だね。」
「そうか?これ以上ないやり方だろ。」
「どこが?」
「裏であろうと表であろうと組織は組織。そして組織というものは必ず提携先がある。
その提携先はまるでねずみ講と同じように広がる。
一つが二つ、二つが四つ、四つが八つ。こうして広まっていき、下っ派の組織まで名前が知れ渡る。」
「……………」
「そしてそれは逆もあり得るという話。」
「…逆?」
「どんなに下っ派の組織でも、任務に関して完全遂行する凄腕という印象を植え付けさえすれば、その下っ派は"上司にお得情報を報告して媚を売る"というシステムが出来上がる。」
最初のコメントを投稿しよう!