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「気分が楽になる、楽しくなっていく、嫌なことを忘れられる、痩せていく。 世間じゃ麻薬を売るために使われる甘い言葉だ。 お前は世間に出てないから知らないだろ。 それを作りまくって人に試させ、廃人をたくさん作ったのはお前だ。」 「……………」 「知らなかったでは通らないぞIQ娘。お前のその賢い頭でやって来たことを考えろ。 江原学から止められたはずだ。それを無視したのもお前だろ。 さっきから俺に言ってるように"信じない"と駄々こねてな。」 「…っ!」 「Xにどれだけの信頼を持っているかは分からない。だがお前は、ただ利用されてるだけ。 Xのシナリオはこうだ。 "江原チカがX" 責任をすべて擦り付け、お前を必ず消す。」 「…信じない!」 「じゃ、決定的なことを言ってやる。 江原学は生きている。お前はXの命令を遂行できなかったことになるな。」 「はぁ!?パパはあんたが殺したじゃない!メールも見た!」 「偽装だ。それくらい俺には簡単なこと。 さてここで質問だ。Xの命令は絶対と叩き込まれているだろうが、もしそれを守れなかったときはどうなるんだ? お前はXの傍で見てきたから分かるだろ?答えろ江原チカ。」 信じないとばかり叫んできた小娘が、真っ青になっているのは見物だな。 思考回路がそろそろ限界だろう。 ならば、簡単に出せる単純な答えに堕ちるだけ。 「パパはどこ!」 「教えると思うか?」 「吐いてもらう!」 …そう。強制的吐露。 江原チカの一言で、大の大人が俺に銃口を向けながら近付いてきた。
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