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しかし、培った動体視力は反射的に自分を追い込むものだ。 避けてはいけないと頭で分かっていても、つい反応してしまう。 それを目の前で見せているものだから、わざとらしそうに自ら当てにいっても変だ。 (…次のチャンスで!) 心でそう決めながら、両サイドにいる敵の鼻に拳を叩き込み、両足で蹴って距離を開ける。 「!」 同時に背後からのプレッシャー。 チャンスが来たと思いつつ、背後に意識を集中させる。 自分の意識を失わない程度のダメージに抑え、且つ、見た目では強烈な一発を食らったように見せるため。 「……グッ!!」 「当たった!押さえ込め!」 意識的に鉄パイプを肘で打ち、頭へのダメージを軽減させる。 しかし、その先は必ず頭にヒットさせる。というより掠めさせる。 少々の切り傷でも大量の出血、それが頭だ。 上手く当てたら、あとは俺の演技の見せどころ。 ふらつき、天を仰ぎ見、膝を地面に。 一瞬熱くなった場所を手で押さえ、しっかりと流血しているか確認。 目眩続行中を装い、もう片方の手を地面につけ、軽く左右に首を振ったところで、数人の敵が俺に覆い被さる。 まるで警察に取り押さえられた暴れる犯人の心境。 「クク…アハハ!呆気ないね!」 「…クソ!離せ!」 「離すわけないじゃん。」 「退け!ガキに翻弄されてんじゃねーよ!」 「威勢のいい人。まずはその口黙らせてあげるよ。 ねぇ!INEVITABLEのマスク、剥ぎ取っちゃって。素顔を見せてよ。」
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