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不気味にニヤけた顔を向け、地面に這う俺を見下ろす姿を恨めしそうに睨んだ。 「教えてあげる。黒川永悟さん。 チカのパパはね、あなたの言う通りチカを止めたよ? でもチカはね、Xを信じたの。何でか分かる?」 「……………」 「チカの頭は世界でも珍しい貴重なものなんだって。 あのね、物が数字に見えてくるの。 それで勝手に計算を始めちゃうの。 こうやったら勝って、こうやったら負けるって見えちゃうんだよね。 だからいつも誉めてくれた。」 「……………」 「パパは違う。いつだって怒ってばっかり。チカを悪い子だって言ってばっかり。」 「…は!ただのガキの癇癪か。」 「だからXに言ったの。パパは要らないって。だったら殺しちゃえばいいよって教えてくれた。 それに、パパはXにとっても要らない人だって。 ママを守ろうとしているだけなのに、ママを殺そうとしてるって。」 「……………」 「だからパパを殺したいって」 「江原喜美子は死んだと言ったはずだ。それを実行したのはXだぞ。 お前の話の矛盾に気付かないか? …いや、既に気付いているはずだ。なのにどうしてXのことを信じる?」 「うるさい!いい子だって頭を撫でてくれたから信じるの!」 「じゃあ俺もいい子だって頭を撫でてやる。だから俺も信じろよ?」 「信じない!」 「自分の言ってること分かってんのか?矛盾だらけだぞクソガキ。」 「うるさい!うるさい!あんただってママが死んだところを見てないくせに!」 「確かに見てない。でもお前はなぜ択捉に行ってまでアンドロイドの江原喜美子に会いに行った? …会わせてもらえないからだろ?それが答えだ。」 「うるさい!うるさい!さっさとパパの居所を言いなさーい!」 「断る。」 「…やっつけちゃえ!」
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