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すると、美和子を連れてきた男が美和子に近寄り、胸ぐらを掴んで平手で頬を打った。
「きゃはは!美和子さん、恨むなら黒川永悟さんを恨んでよ?」
「江原チカ!やめさせろ!」
「だってあなたに何をやっても効果はない。拷問訓練でも受けたみたいだ。
だから、もっとも効果のあるやり方ってこういうことでしょ?
一般人、女、元カノ、そういう立場の人がいるなら、それを利用しない手はない。」
「やめろ!美和子!美和子!」
「ウッ!……やっ……グフッ!」
「美和子!俺を見ろ!大丈夫だ!すぐに助けてやる!」
「……永……ウッ……」
平手だろうが男の力。
あれだけ振りかぶって頬を殴り続ければ、どんなに気丈でも女はもたない。
時間にして30秒程だろう。
しかし、数時間と思えるほど長い殴打時間が止まった。
美和子は息を荒くして項垂れ、その髪で表情が見えない。
「美和子!こっちを見ろ!美和子!」
「あーあ、大事ならどうして言わないわけ?言ってくれたらすぐに返してあげるのに。」
「…覚えてろよ江原チカ…貴様…俺が警告したのを忘れたわけじゃあるまいな?」
「しっかり覚えてるけど。でも、この状況で言える立場にあるのかな?」
「…クソ…」
「最後にもう一回聞くよ?パパはどこ?」
「……っ」
「ほんっと強情。
ねぇ!このおねぇさん、みんなの好きにしていいよ!」
「は?…おい、何を…」
「いや…永悟…助けて!いやぁああ!」
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