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こいつ、俺たちが別れたきっかけを知っていたか。
これじゃ、あの日の再現だ。
一番"卑劣"なやり方で追い詰めるか!
「美和子!」
「やだやだぁ!助けて永悟!」
「早く言わないと、あんたの元カノさんヤられちゃうよ?いいの?黒川永悟さん?」
両手を一人の男が
両足を一人の男が
捕らえられた美和子は簡単に拘束される。
涙を流し、身を捩り、必死に抵抗する姿を見ながら、俺も声の限り叫ぶ。
美和子に馬乗りになった一人の男
その周りを囲む数人の男
美和子の恐怖心は最高潮だろう。
「やめろ江原チカ!」
「やめて欲しかったらパパのこと教えて!手遅れになるけどいいの?」
馬乗りになった男が美和子の服に手をかける。
「や……いやぁああああ!」
ボタンが俺の足元へ転がるほど、激しく引き裂かれたブラウス。
「やめろぉぉおおお!!!
住所は○○区○○5丁目の○○ビル!
その地下二階に江原学は匿っている!」
ピタリと停止した男たち。
ハァハァと息遣いの粗い俺と美和子。
ニヤリと笑みを浮かべた江原チカ。
「……さんきゅー。」
小さく呟いた皮肉の言葉は、あまりにも大きく聞こえた。
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