1137人が本棚に入れています
本棚に追加
/255ページ
(…ホント…敵わねぇな…)
行動は慎重を要する。
時間をたっぷりかけてでも"知識"を増やさなければ"行動"出来ないものだ。
ただし、針の穴ほどの小さな"きっかけ"を大きくするのもまた技量。
「…悪魔に魂を売った子供…か。」
「は?」
「江原チカ。お前の父親はお前を救いたいと思っていた。でも、それが出来なかったから最終手段に出た。」
「本当の子供を殺すことがそれって言いたいわけ?」
「それしか手段がなかったから俺に依頼したんだ。ここまで見せつけられたら納得するな。」
「…言い残したことってそれ?」
「いや。」
項垂れる。そして首を左右に振る。
Beeはずっと大人しい。
周りの人数は変わらない。
美和子は顔を覆って泣き続けている。
江原チカとの距離は約5m。
「……二枚のカード。」
「…え?」
「切り札の話だ。あの世への土産にくれよ。」
「死ぬことを覚悟したって?」
「そういうことだ。この状況で俺が勝てる要素もない。」
「…プッ………アハハハ!負けを認めるんだ!伝説の殺し屋が?最高!」
「だろ?守秘さえ守れず、俺の"心"とプライドはズタズタだ。
言えよIQ娘。最後の切り札は何だ。」
口角を上げて笑った江原チカ。
最初のコメントを投稿しよう!