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「江原チカというガキがメールしてきたんです。調べてもらえませんか。」 『ガキ?』 「ええ。10歳の女の子らしいです。」 『…10歳、ね。そんなガキが、なぜお前の存在と裏ルートのメアドを知ってる?』 「そこです。」 『まぁいいや。…あった。 江原チカ、確かに10歳だ。住所は…』 さすが永橋主任。 数秒の会話中にすべてを調べてくれる。 住所を聞きながら、スクランブル交差点を渡る。 「…あ、すみません。」 その真ん中、とある人物の肩にぶつかり、そいつのポケットにダミー手榴弾を入れた。 《今日の取引は中止しろ これは警告だ  INEVITABLE》 そんなメモを添えて。 『ターゲットである江原チカの父親は、龍仁会の組長だな。江原学、46歳。 …なるほど。データによれば、どうやら江原の仕事は密売人だ。』 「それは江原チカが"悪人"と認識したってことでしょうか?」 『無きにしもあらず。しかし、罠という手も勿論ある。』 「そうですね。悪人なら己の子供を利用するなんて心さえ痛まないでしょうから。」
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