8

29/53
前へ
/255ページ
次へ
「目的?そんなの世界征服よ。」 「…は!なんだそれは。」 「私がXになったきっかけは些細なことからだった。純粋にこの世の理不尽を正してやりたいと思った。」 「理不尽?何の?」 「私の兄は交通事故で死んだわ。加害者は八巻宣親。」 「…八巻?……まさか…」 「20年前の総理大臣、八巻宣夫の息子だった。 八巻宣夫はその事実を揉み消した。八巻宣親は刑に服することなくすぐに出所。 謝罪の言葉など一言もなかったし、会いに来たこともなかった。 そういうことが許される政治家。 そういうことが許される金持ち。 そういうことが許される世の中。 すべてが憎いと思った。」 「……………」 「悪いことをしたら罰を与える。それでも改心しない人はどれくらいいると思う? …犯罪者はね、結局同じところに戻る。 だったら世の中は悪いことだらけじゃない。」 「……………」 「悪いことをしたら罪を償う。被害者が望むのは加害者の死。それだけよ。」 「お前に起きたことは同情する。だが許される行為ではない。」 「そうかしら?世界中で起こっているテロって、全部私の意思に賛同した人たちよ?どれだけいるって思ってるの? やり方を少しレクチャーしてあげたら、見事に成功させていったわ。」
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1138人が本棚に入れています
本棚に追加