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渡りきったところで人混みに紛れながら後方を見る。 やっと気付いたのか、周りをキョロキョロする滑稽なターゲットの姿を確認。 『…ああ、江原チカは警察に何度も訪れているようだ。内容は"虐待"』 「…本人が助けを求めてると受け止めることもできる。」 『そういうことだ。』 どうにかグレーの状況をはっきりさせないといけないらしい。 どうも気になる依頼主。 しかし、立ち止まるわけにはいかない。 …と、細い路地に入ったところでピタリと足が停止する。 前から歩いてくる殺気。 相手はニコニコしながら俺に向かってくる。 「…永橋主任。一旦切ります。」 『なんだよ。どうかした?』 「トラブルです。主任はご存知なのでは?」 『は?なんのことだ?』 「…目の前に恵さんがいます。」 『は!?マジで!?ちょ、な、』 「一旦切ります。」 『待て黒川!逃げろ!』 「どうやって。殺気、凄いです。」 『やばっ、ボス!』 どうやらあっちで把握はしてなかったらしい。目を盗んで来たってことか。 「あ、黒川くん!偶然だね!」 …とか、なんとも白々しい言葉と共に手を上げた。
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