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「恵さん。ものは相談なんですが。」 「んー?何?」 「子守りをしていただけませんか。」 仕事用携帯に送られてきた江原チカからのメッセージを開いて見せた。 恵さんはすぐに表情を変えた。 「調べたの?これ。」 「ちょうど永橋主任と話してたところです。とりあえず、今のところは70%というところです。なんせ、先程来たものなので。」 「…ふーん。なぜ私に?」 「俺の仕事を手伝ってくれるというのなら、こちらの方が適任でしょう?ボスだって"それ"だけはあなたも俺も許されないことだ。」 「ボス、ね。アノヤロー。」 「喧嘩でもしたんですか?」 「別に。イライラしてただけ。いいよ。この子は私が見てくる。」 「ありがとうございます。」 子供からの依頼は初めてで、正直戸惑ったこともある。 だが、ちょうどいいときに恵さんが現れた。俺より女性が適任だし、この人なら危険を回避できるだろう。 解かれた殺気に気を許し、コーヒーを一口飲んだ瞬間、また息を飲む。 「…で?黒川くん。」 「はい?」 「いつ会わせてくれるわけ?彼女。」 「……………」 …本来の目的はそっちか。 …本当に何を考えているのか。 「今日は無理ですよ。出張だと言って出てきてるんで。」 「いつならいいわけ?」 「あっちの都合と合ったときです。」 「じゃ、明後日。」 「話、聞いてましたか。」 …ダメだ。調子が狂ってきた。
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