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「とにかく会いたいの。だって黒川くんの彼女でしょ?どんな人か知っておきたい。」 「興味と好奇心ですか?」 「そう思ってもらって結構よ。」 「心配なさらずとも、普通の会社で働く普通の女ですよ。」 「愛してるのね。」 「ええ、とても大事にしてます。」 無表情で真っ直ぐ俺を見る恵さんに対し、俺も無表情で見返した。 しばらく目を合わせ続け、フッと視線を逸らしたのは恵さんが先だった。 「…なるほど。心配する必要はないようね。でも、一度会ってみたい。」 「…分かりました。都合を聞いてみますから、それまで待っていてください。」 「分かった。じゃ、この子は任せといてよ。すべて調べてきてあげる。」 「宜しくお願い致します。」 そのまま店を出ていった恵さんを確認し、フーっと息を吐いた。 ボスだけでなく、恵さんまで。 立て続けに自分が試される。 仕方ないと言えばそうだが、試されるのはあまりいい気はしない。 (そうだ、時間!) いろいろ考えていると、約束の時間が近づいていることに気づき、慌てて待ち合わせ場所へ向かった。
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