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一度立ち止まり深呼吸したあと、そこからは猛然と走る。 人の間を掛け 店の中を通路代わりに使い 住宅の垣根を飛び越え ビルの隙間を抜け 「…ハァ…ハァ…ハァ…」 自分に追っ手がないことを確かめて、とあるビルの屋上で立ち止まる。 そこで息を整え、先ほど手渡されたものを再度確認。 どう考えても、何度見ても、先日の東京タワーで警告した無様な男。 ショルダーバッグから通信機を取り出すと、それを起動させた。 「…INEVITABLE.」 『あ?…どうした急に。』 「東京タワーの相棒、あの男、Xの片棒か?」 『……さぁな。』 「契約に違反するつもりか。それならばこちらもそれ相応の対応をするぞ。」 『それは怖いな。俺のタマを取る気か?お前にそれが出来るのか?』 「俺の質問に答えろ。」 『いいねぇ。羊の皮を被った狼が俺に敵意を向けているとぞくぞくする。 それを手なずけている自分がすごく偉くなった気分だ。はっはっはっ!』
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