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俺が『ボス』と呼ぶ奴は複数いる。 それぞれ利用し利用される関係。 「…お前は終わりだろう?"ボス"」 捨てた通信機からの呼び出し音が絶え間なく響くも、俺はそれを車に向かって投げ捨てた。 警告はした。あとはお前次第だ。 頭を垂れて謝罪し、契約通りに事を行うか。それとも警告を無視するか。 「…すごい殺気。」 「!!!」 相手に力量を示すため、最大限に放出していた殺気を放ったまま、全く気配のなかった後方へ銃を向けた。 油断してた。 …と思ったのも一瞬。 声のした方へ目を向けると、一気に脱力した。 チョコンと座って頬杖をつき、クスクス笑ってこちらを見ていた。 「…恵さん…ビックリしたじゃないですか…ストーカーごっこですか?」 「そう。彼女に会いたくて。内緒で会いに行くと思ったんだけど、浮気相手だったみたいね。残念。」 「だから、それは向こうと時間が合ったときと言ったでしょう。今日は忙しいんですよ。」 「どうやらそうみたいね。…こっちも出来たけどどうする?」 「えっ。もう!?」 …さすがというべきか。 この人は言葉も早いが行動はさらに早い。
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