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「江原チカ、10歳。○○小学校5年生。出生の詳細は省くからあとで資料を見てくれる? ちょっと気になったのは、この子はひどく衰弱してるってことかな。」 「衰弱?」 「恐らく、ドラッグで。」 「…10歳の子供ですよ?」 「…はい、隠し撮りだけど、今の外見はこんな感じ。」 手渡された写真は、骨と皮だけの小さな身体。 目の下は真っ黒で、瞳も虚ろ。 鼻は少し赤く、どこから見てもヤク中。 「次の写真は半年前の江原チカ。本当に可愛らしい女の子だわ。 人がいなくなったのを見計らって、少し話してみた。…彼女は本気で殺しを依頼してると分かったよ。」 「……なるほど、父親に無理矢理?」 「その通り。経緯を聞くと、ある日頭痛がすると父親に言ったところ、頭痛薬だと言われて渡されたものを飲んだらしいわ。 それがドラッグだと気が付いたのは、自分が父親の部下にそっくりだったからだそうよ。」 「つまり、江原チカは日常的に常習者の近くで生活していた?」 「…廃人になっていく様を見続け、強制的にヤク浸けされる連中も増えたとか。 調べてみると、どうやらそいつらは量と頻度を調節しながら、ドラッグが人間に与える作用を実際に試された人体実験台だったようね。」 …腐ってる。人間として。 それを人に試すだけでなく、10歳の子供に見せ、しかも実験台の一人として使うとは。
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