INEVITABLE

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どう考えても、裏の世界で暗躍する者の一人だろう。

気になるのは"実験"の方だ。

「新薬でも作ってるっぽいね。」

そう、それだ。

ドラッグが人体へ及ぼす影響など、数百年も昔から知られていること。

今さら人体実験をして何をしたいか。答えは新薬以外ないのだ。

量を調整し、見た目はドラッグのように見えないものかもしれない。

大量の"かさ増し"で少量のドラッグを同値段で売り、金を騙し取ろうとする魂胆が丸見え。

…しかし、

(しくじったな…)

蓋を開けてみれば、こういう内容の依頼だったのは仕方ないこと。

それよりこの人の正義感は、危険な依頼を無視するほど弱くはない。

「…ぶっ潰してやる。組織も、取引先も全部見付けて根こそぎぶっ潰す。」

「いや、恵さん。そろそろお帰りになられた方がいいのでは？」

「ぶっ潰したあと彼女に会うんだ。」

目標を見据えた目はギラギラしていて、俺は溜め息を吐きながら携帯を取り出した。