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「もしもし。俺です。」
『やぁ、黒川くん。24時間のうち、こんなに声を聞くなんてことは滅多にないね。今度はどうした?』
「直ちに回収してほしいものが。」
『…やっぱりか。一緒か?』
「はい。目の前で闘志燃やしてます。」
『あー……江原チカか。それを恵が知ったら放っておけないと思ってたよ。』
「じゃあ何ですか。ボスは恵さんが俺のところにいることを承知してたんですか?」
『まぁね。』
耳元でクスクス笑うボス。
それを聞きながら恵さんに目を向けると(ボスは恵さんの何枚も上手だ)と心で呟いた。
『俺は手が離せないから、助っ人で池辺をそっちに向かわせた。そろそろ例の場所に到着するだろ。
恵のことは奴に任せ、お前は他のボスの指令に向かえば?』
「…刺々しい言葉だ。」
『何を。…他のボスだって、お前の雇い主が自分一人じゃないと知っているだろ?
俺だってその雇い主の一人にすぎない。お前との関係は"契約"以外ない。』
INEVITABLE
それは契約のみで敵にも味方にもなる
孤高の一匹狼
その道は危険でいつも"死"を左右する
それが俺だ。
そしてもう一人、"X"
『黒川。お前の目的を見失うな。俺の要求に答えろ。俺はお前との契約をただの一度も破ったことはないのだからな。』
「…契約がある限り、俺は忠実なあなたの犬ですよ。」
『それでいい。』
ボスの中でもこのボスは一番恐ろしい。
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