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電話を切った俺は、嫌がる恵さんを強引にアジトの一つへ連れていった。
ボスの言う通り、既にすべてを知っているであろう池辺さんが待機していて。
「恵!…お前はっ!うろちょろ散歩ばっかしてんじゃねぇよ!」
「いだぁーーー!ギブギブ!」
「帰るぞ!こいつは黒川に任せておけばいいんだよ!」
「嫌!私がやるの!」
「ダメだ!ボスに怒られるのは俺なんだぞ!」
「嫌だ!一人で帰れ!」
容赦なく女にチョップをかます池辺がなかなか面白い。
しかし、そこは男の重い腕と力が込められている。女の恵さんにとってはかなり痛いだろう。
それでもめげずに反抗する。
それほどまでに正義感が支配しているのだ。
「黒川。」
「はい。」
「迷惑かけてすまないな。こいつ、きっとこのままじゃ一生帰らない。」
「でしょうね。」
「こいつがお前を信用してないから自分がやる、なんてことではないんだ。そこは分かってるよな?」
「はい、大丈夫です。多分、ボスもそのつもりで池辺さんをここに寄越したんでしょう。お願いします。」
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