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答える代わりに俺の肩をポンポンと二度叩き、恵さんを小脇に抱えて出ていった。 静かになったアジトで、一本タバコを取り出し火を着ける。 バタバタと時間が過ぎて、飯の存在さえ忘れていたがそれさえ面倒になってきた。 (さて、どうするか…) あの行動力のある二人だ。恐らく夕方には、江原チカの件は片付いているだろう。 手持ちの依頼は残り6件。 "ボス"たちが命令していた連中の様子を見て警告したあと、既に警告済みの連中を見てこなければ。 警告に留意し大人しくしていればよし 警告を無視していれば、その時は…… 二本目のタバコを取り出した時、もう一台の携帯が震え、躊躇なく通話を始めた。 『もしもし?』 「やぁ。美和子。」 『…今大丈夫?』 「大丈夫だよ。…不安そうな声してる。どうした?」 『…ちょっと声が聞きたくなって。』 「…美和子?そんなことで仕事中に電話する女の子じゃないことくらい知ってるよ。何があったの?」 『……………』 「…美和子。言ってみて?」 『…昨日から…なんか…誰かにつけられている気がして…眠れなくて…』 「…つけられている?」 『見た訳じゃないから本当に気のせいかもしれないけど!…足音とかずっとついてきてて…なんか怖くて…』 「仕事切り上げて帰る。」 『いや!いい!今のところ大丈夫!』
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