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美和子の存在は俺の弱点になる。 決して敵に知られてはいけない。 俺は共にいる以上、守る義務がある。 どこかの組織が絡んでいるのか。 一瞬過った考えを、すぐに否定した。 ミスはおかしていない。 神経を研ぎ澄ませているINEVITABLEの状態で、俺がつけられたり観察されたりするわけがない。 そんなものがあればすぐに分かる。 世界中で組織が俺を探している。 だが、見つけることは不可能。 未知数と言われる俺を、簡単に発見できるものか。 「…ストーカーだったらどうする。なにか起きてからでは遅いんだぞ。」 『……………』 「今から帰るから。会社で待ってろよ。」 『ダメ!仕事しなきゃ!大丈夫だから!今日は理恵ちゃんとタクシーで帰る!』 「本当に大丈夫?」 『だから、仕事ちゃんとやって来て?ね?私情で仕事放棄とかダメ!』 「…分かったよ。出来れば理恵ちゃんに泊まってもらって。俺が帰るまで誰かと一緒にいて。いいね?」 『分かった。…ありがとう。ちょっと不安が取れたかも。』 「それはよかった。いつでも電話して。取れるときはすぐに取るから。」 電話を切ると携帯を投げ、深い溜め息を吐いた。 厄介事がこれ以上増えないように祈りつつ、仕事に頭を切り替えた。
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