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ヘッドホンを装着し、音楽を聴いている風にノリノリで向かった先。 (あーあー…警告を無視したな…) 何やら深刻そうな顔をして語る四人の男。 お抱えボディーガードは三人。 状況をより把握するため、ガラスに泡洗剤を吹き掛けながら、その角に振動集音機を取り付ける。 高層ビルの上階、この強化ガラスでも伝わる声の振動。 『…とにかくもう解放してくれ!』 『おいおい、それじゃむしが良すぎるってもんだ。金は欲しい、時間も欲しい、だが、こちらの要求には応えられない?』 『金もいらん!何もかも!だから解放してくれ!』 『おたくさ、小さい頃にお母さんから教えてもらわなかった?約束は守りなさいって。』 『…約束を守ってないのはそっちだろ!いい加減にしろ!』 『ちゃんと求めるものが手に入れば守ると言ってるんだ。損な話ではないだろ?』 『…奴が…来る…奴が…』 『…奴?INEVITABLEのことか?そいつは噂だけの存在だ。もう死んでいると言うものもいるし、実際に見た人間などいないさ。心配するな。』 …なるほど? 警告を無視しているわけではなさそうだが、要求を飲んでしまえば同じこと。 さぁ、どうする?
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