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どういうことだ? まさか、こいつは江原チカの父親? ならば、俺のターゲットがこの場に鉢合わせしている。 この男は"ボス"が以前から目をつけていた野郎だ。 最近、対立組織に出入りしていることを知り、無駄に知識をつかせるよりは始末しろと命令されただけ。 同じタイミングで江原チカからの個人依頼。 (…臭いな…) もう少し双方から聞き出したいとことだが、帰る準備を始めている。 …逃がしはしない。 錐の点を金槌で思いっきり打てば、強化ガラスなど簡単に砕け散る。 派手な音と共に砕けたガラス。 ビニールはガラスを落とさず、眼下の人間たちも無事の様子。 「すみません!ゴンドラが当たって!お怪我はありませんか?」 「ああ、大丈夫だ。」 「はぁ…良かったです…… ……ま、これから怪我はしますけど。」 そう言うと、張り付いていたボディーガード一人を蹴り飛ばして壁と仲良くさせる。 切れた口から出た鮮血の赤が壁紙の一部と化し、一つアートの出来上がり。 「殺せ!こいつを殺せ!」 「なんだ。お前、俺を見たかったんだろ?本物だぞ。」 「本物?…何の……ま、まさか、」 「INEVITABLE、俺の別名だ。」
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