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落ちた、はず。 しかし、無様に落ちることなく両足で着地した辺り、さすがの反射神経だ。 目の前にいるのはそう、池辺さんと恵さん。 恵さんは転がっている男に近付くと、その頸動脈に手を当ててニヤリと口角を上げた。 「やっぱり、さすがというべきだね。」 「……………」 「いつ気づいたの?」 「侵入した直後ですよ。お二人とも、ちょうど押し入る直前だったのでは?」 「正解。」 「邪魔をしたお詫びです。とっとと連れ帰ってくれませんか。 恐らくこの男、江原の情報を持っています。出来れば先ほどの意味深発言の件もゲロってくれたらいいですけどね。」 「…ハハッ!お前、恵を顎で使う気か?ボスに怒られるぞ。」 「契約がある限り、俺とボスの関係が悪くなることはない。 それに、俺が殺った人間は、あんたらがすべて処理をしているんでしょう? じゃあこいつも頼みますよ。」 そんな会話を淡々と終えると、恵さんが顎に拳を当て一時停止する。 「おい、恵。」 「…意味深発言…」 「……………」 「…なるほど、そういうことか。 帰るよ。こいつから聞き出したいこと、山ほど見つかった。 黒川くん。君にもちゃんと教えてあげるから、彼女の件は宜しく。」
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