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そう。 このターゲットは殺さない方が利用価値は高いと判断した。 そのため、ただ意識を奪うだけにとどめたが、"絞殺現場"を初めて見る者にとっては十分な威嚇だろう。 人間の顔色がどす黒い色になるなど、見たことはないはずだから。 それに、あれは本気だった。 辞めたい、足を洗いたい、と。 俺の警告は胸に突き刺さっていた。 それに乗じ、気付いてしまった江原の状況。 俺の考えていることが本当ならば、江原はさらに他の大きな何かと繋がっている。 …例えば、"X"  とか。 どうやら恵さんは俺の考えていることに気付いたらしく、池辺さんを使って他の連中を回収のために呼んでいた。 「…黒川。」 「はい。」 「お前、大丈夫か。」 「…ええ。」 「…ならいいが。ボスが気にしていたから。無理なら辞退してもいいんだと。」 「…結構性に合ってますよ。そうお伝えください。」 「"X"は手強い。その辺は永橋が頑張っているだろうが、その命は常に"X"に狙われていると思え。」 「当然。そのために暴れているわけですしね。」 事ある毎に"X"に囚われる。 俺は優秀な"囮" 目的は一つだけ。 その目的を達成するまでは、"INEVITABLE"を辞めたりなどしない。
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