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「つーか、頼むから帰れ。俺だって久々に帰ってきたんだ。」 「あら、そういうなら私だってあんたと会ったのは何年ぶりかしら。」 「え、永悟!いいじゃない!せっかくお姉さまがいらしてくださってるんだから!」 「…あのな。お前だって例の件で怖い思いしただろ。その事聞きたいのに。」 「怖い思いって?美和子さん、何かあったの?」 「だから!首を突っ込むなよ!」 …いや、何となく分かる。 この部屋にある空気。 この人は今、この部屋中に神経を張り巡らせて探っている。 恐らく蟻が一匹いても敏感に反応するだろう。 だが、首を突っ込むなというのも本音。 この人が暴れれば、ボスの組織が危うくなるのは目に見えている。 俺はボスに縛られた"飼い犬" そういうことが危惧される場合、未然に防ぐことも俺の仕事だ。 「…いえ…誰かにつけられてる気がして、怖くなって連絡したんです…」 「………ストーカー!?」 「いえ、そこまでは分かりませんけど。でも大丈夫です。警察にも相談しましたし。」 「おのれ、女の敵め!永悟!あんたは何やってんの!彼女が怖がってるのに、ストーカーの一人や二人捕まえなさいよ!」 「だから、その話をしようとしてるときに姉貴が来たんだろうが!」 瞬間、ふと空気が和らぐ。
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