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恵さんがいなくなった部屋、彼女と二人きりになり、テーブルを挟んで向き合った。
「美和子、警察に行ったのか。」
「…あ…うん…」
「何があった?」
「……………」
「黙っていたら分からないだろ。ちゃんと俺にも言って。やっぱりストーカーだったのか?」
「…多分…」
「多分?ますます意味が分からない。じゃあなんで警察に行ったんだ。」
「あ、頭ごなしに怒鳴らないでよ!」
「怒鳴ってないだろ。状況を聞いているだけだ。」
「怖かったんだから!すごく怖かったんだから!永悟がいなくて不安だった!なのにどうしてそんなに怒っているわけ?」
「美和子。…ごめん、悪かった。謝るから落ち着いて。な?」
…厄介だ。
女の癇癪ほど面倒なものはない。
こういう場合の男の対応…いや、"彼氏の対応"は折れること。
そして、落ち着かせて慰める。
その術は、俺がかつて過ごした場所で、幾度となく見て学んだ。
立ち上がって美和子に近付き、抱き寄せて胸の中に閉じ込める。
頭も背中も撫でながら「ごめん」を繰り返す。
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