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癇癪に伴い涙を流していたが、しばらくそのままでいれば落ち着いて現実が見え出す。 「…ごめん…永悟…ちょっと思い出しちゃってパニックに…」 「いい。気にするな。」 「…永悟…私を嫌いにならないで…」 「ならないよ。」 「…ホント?」 「ああ。」 …なるほど。 その前置きがあるということは、恐らく 「…あのね…帰宅途中にね…」 「ん。」 「住宅街だった…すぐそこの… …後ろから急に抱き付かれて…ビックリして…すごく気持ち悪くて… 塀に乗っていた植え木鉢が目に入って…それを落としたの…」 「…ああ。」 「…あ、頭に当たったみたいで…動かなくなって…人を殺したって…警察に…」 「…そうか。」 「…警察と一緒にそこに行ったんだけど…誰もいなくて…」 …やはり、"殺人"の類いだったか。 だが、現場から消えた死体。考えられるのは一つだけ。 「だったらそいつは生きているってことだ。殺人事件じゃない。 それに、相手は暴行してきた。お前は正当防衛で罪にはならない。大丈夫。」 「…ほ、ホント?」 「ああ。警察だってバカじゃない。だから自首したお前はここにいるんだろ。事情聴取だけで戻ってこられたんじゃないか。」 「そうだけどでも、」 …まぁ、考えれば違和はある。 だが今はこいつの頭から削除させることに徹する。
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