1135人が本棚に入れています
本棚に追加
癇癪に伴い涙を流していたが、しばらくそのままでいれば落ち着いて現実が見え出す。
「…ごめん…永悟…ちょっと思い出しちゃってパニックに…」
「いい。気にするな。」
「…永悟…私を嫌いにならないで…」
「ならないよ。」
「…ホント?」
「ああ。」
…なるほど。
その前置きがあるということは、恐らく
「…あのね…帰宅途中にね…」
「ん。」
「住宅街だった…すぐそこの…
…後ろから急に抱き付かれて…ビックリして…すごく気持ち悪くて…
塀に乗っていた植え木鉢が目に入って…それを落としたの…」
「…ああ。」
「…あ、頭に当たったみたいで…動かなくなって…人を殺したって…警察に…」
「…そうか。」
「…警察と一緒にそこに行ったんだけど…誰もいなくて…」
…やはり、"殺人"の類いだったか。
だが、現場から消えた死体。考えられるのは一つだけ。
「だったらそいつは生きているってことだ。殺人事件じゃない。
それに、相手は暴行してきた。お前は正当防衛で罪にはならない。大丈夫。」
「…ほ、ホント?」
「ああ。警察だってバカじゃない。だから自首したお前はここにいるんだろ。事情聴取だけで戻ってこられたんじゃないか。」
「そうだけどでも、」
…まぁ、考えれば違和はある。
だが今はこいつの頭から削除させることに徹する。
最初のコメントを投稿しよう!