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翌日、朝6時。 ベッドには美和子の姿はなく、部屋の向こうからその気配が感じられた。 洗濯機、フライパン、食器、足音、水道、コーヒーメーカー。 キッチンで動き回る美和子が想像できる。 「あ、おはよう永悟。…って、服くらい着なさいよ。」 「…ああ…シャワー…うん。」 「まーだ寝ぼけてる。シャワーで目を覚ましておいで。」 クスクス笑いながら美和子に背中を押され、脱衣所のドアを閉められた瞬間に携帯を取り出す。 《当たり》 ただ三文字のメールに、思わず笑いが込み上げてきた。 さて、今日はどうするか。 …ああ、"パパ"が先だったな。 携帯を持ちながらバスルームへ入り、蛇口を上げた。 次第に熱くなっていく雨を全身に浴び、その最中、共に濡れていた携帯が震えた。
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