2/28
前へ
/255ページ
次へ
「……………」 心地よい雨に打たれつつ、その画面を凝視した。 何の冗談か? 「…あんの…野郎…」 INEVITABLEについては信じない風に言っておきながら、俺の連絡先は手にいれてたというわけか。 しかも、父娘揃って何を考えているんだ。 …考えている…? いま、なぜ俺はそう思ったんだ? 「……クソ!」 携帯を脇にやり、身体を洗う。 その間、出来るだけ頭を整理する。 10分もしないうちにバスルームを出ると、食欲をそそる香りがそこらじゅうに漂っていた。 「永悟。朝食できたよ!」 「ああ。…美味そ!いただきます。」 定番のベーコンエッグに焼きたてパンとスープ、そしてコーヒー。 それを食しつつ、セットしておいたアラームを鳴らせる。 「…悪い、職場だ。」 「どうしたんだろうね。こんな時間に。」 「外国なら今は夕方とか夜だしな。」 「ああ、そっか。」 「…もしもし、黒川です。」 別の部屋に移動しながら"通話"し、部屋のドアが閉まると"通話"を切る。 あとは1分ほど時間を置いて部屋を出るだけ。 「美和子、ごめん。フランスでまたテロだって。行かなきゃ。」 「マジ?多いね。」 「ホント、参るよな。また連絡する。会社の行き帰りは気を付けろよ。」 コーヒーを一気に流し込み、着替えるとすぐに家を出た。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1135人が本棚に入れています
本棚に追加