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「…恵さん!あんた、どこまで知ってるんだ!俺に隠していることがあるだろ!」 「…きゃーー。痛いーー。」 「棒読みしてんじゃねぇよ!あんたが調べた江原チカのファイルを今すぐ見せろ!」 「…襲われるぅーー!助けてボス!」 その騒ぎを聞き付けたのか、若しくは騒ぎになるであろう事を予測していたのか、部屋に入ってきたボスと永橋主任。 女の胸ぐらを掴んでいるという異様な光景に一瞬目を丸くし、そして笑い始めた。 「あーあー、恵。お前が自分でどうにかしろよ?お前が蒔いた種だ。」 「どうにかって、別にどうこうするつもりはないけど。」 「だ、そうだ。」 「テメェ!いい加減にしろ!こうなってしまうからあんただけには出てきてほしくなかったんだよ!」 「…何それ。ちょっと聞き捨てならない台詞ね。」 「そうだろ!何かといろいろ首突っ込んではそれを当事者に言うことなく自分だけ納得して勝手に解決する!」 「「…的確だな、黒川。」」 「そこの二人、頷いてないで助けてよ。私、女の子なのに。」 「だって、恵はやらせているんでしょ?止める必要もないじゃん。」 「…おい。ファイルを出せ。」 「あーー!もう!分かったからちょっと離して落ち着いてみようか黒川くん。」 …イライラがおさまらない。 こういうことになるから自分の仕事を任せることはやりたくない。 しかし、あの時この人に仕事の話を持ち掛けなければ、仕事自体にも付きまとっていただろう。 結局はこの恵さんに踊らされている自分に、どうしようもなくがっかりする。
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