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主任室に入ってそこの椅子に座る。 永橋主任はその足で奥の部屋へ消えた。 しばらくすれば、朝、自分の部屋で香り味わったものと同じ香りが漂ってきた。 あと数分は来ないだろうと思い、デスクに置かれていたPCを拝借。 「ミロトダリ・アンバス?フランス作家?どこにもいねぇじゃん…クソ次長!」 いろんな方法で調べてみても、そういう作家も人物もフランス人もいない。 イライラしながら呟いていると、背後から「ブハッ!」と吹き出す永橋主任の存在があった。 「…ホント、黒川は真面目だね。」 「……………」 「ほら、コーヒー飲んで落ち着けって。」 「………どーも。」 「落ち着いたら一緒にあのおバカさん…いや、天才の考えを紐解いていこうな。」 ポンと肩に手を添えた永橋主任は、俺と対面するように座った。 一口、二口と飲み進み、カップを置いて見上げる。 永橋主任は満面の笑みで応える。 「よし、落ち着いたね。じゃ、話を進めよっか。 まず、江原チカからINEVITABLEに依頼メールが届いた。 ちょうどそのとき、黒川は"ボスズ"からの殺し依頼で忙しく、そこにいいタイミングで恵が池辺と現れた。 …はい、ここまでで間違いは?」 「…ありません。」
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