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永橋主任はコーヒーを口に含んだ。
それを飲み干すと、前屈みになり俺を見据える。
その一連の動作は、まるで自分を落ち着かせているかのようにも取れる。
「ボスが江原チカにINEVITABLEの連絡先を流したとする。だがそれを使うか使わないかは江原チカ次第だよな?」
「その通り。江原チカは命の危険を考えて使ったはずだ。
"虐待"は10歳の子供には十分な理由。それに俺もその証拠は掴んでいますし、恵さんも事実を知って怒っていた。
恵さんの怒り具合からすれば、"虐待"は事実でしょう?」
「まぁな。俺もそれについては裏付けがある。何か、とは言えないが事実だよ。
ただなぁ…お前が俺たちにくれたプレゼント、あれが思いもよらない最高級ジュエリーだったんだよな。」
「と、言いますと?」
「ターゲット江原学は常日頃からお前を、INEVITABLEを探していたらしいぞ。」
「……では、あのときの発言は?」
「ずっと探しているのに見付からない。龍仁会の組長という立場の自分なのに、身近でお前の情報が全くない。半ば噂だけの存在と諦めかけていた、と取れるよな?」
「なるほど。…でも、なぜ俺を?」
「それについてはプレゼントが興味深いことをしゃべったよ。」
PCに手を伸ばし素早く操作したと思えば、俺にPCの画面を向けた。
停止しているそれにカーソルを合わせ、クリックして再生が始まる。
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