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「黒川。結構な情報だろ?お前の賢い頭で考えてごらん?」 …確かに、今の内容はかなり情報があったし深いものだった。 「…植野は江原からの命令で麻薬入りキャンディを作っていた。 恐らく、理科学研究所所属という利点を逆利用されていた。 その植野は家族を人質にとられていた。脅迫ゆえの犯行だったと結論付けられる。」 「そうだ。彼に犯罪歴はない。初犯なのにINEVITABLEに狙われるという事態。…明らかに臭うだろう?」 「じゃあ、植野を殺せと依頼してきた"ボス"は、その人質の居場所を知っているし江原を動かしている…」 「普通はそう考える。だが植野の話には続きがあった。何て言ったっけ?」 「"思いもよらない"とか"魔女"だとか。…相手は女で…………」 ちょっと待て。女? 俺は植野の依頼を受けていた。 決行前に江原チカからの依頼メール。 同時期にボスからの依頼者と江原チカからの依頼者が鉢合わせ。 恵さんと池辺さんに江原学を追わせ、俺は植野正を追っていた。 偶然?…仕組まれた必然。 ならば、消されそうになった理由は? 殺しの依頼をして来た人物は? すべてが一致して導き出された答えにゴクリと唾を飲んだ。 それを見た永橋主任がまたニッ!と笑った。 「…どう考えても見えてくるだろう?思いもよらない恐ろしい魔女が。」
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