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続きはこうだった。
『…江原学の娘だ。チカ…とか言ったか。あの子は魔女だ。
知っていたか?あの子が世界中から注目される"天才"だということを。』
『天才、ね。そうだろうね。江原チカは三歳で既に英語を喋っていたらしいじゃない。知能指数200とも言われる、まさに"天才"ね。』
『そうだ。自分が父親に殴れと強要したが、江原学は出来ないと断った。
すると、部屋の壁という壁にぶつかり、上から物を落として自らぶつけ、バーナーで自分を焼き、飲まず食わずで過ごしたそうだ。』
『誰からの情報?』
『組の幹部だ。…龍仁会の連中の薬漬けは、江原チカの指示。
その江原チカ、ある日どこかに電話していたらしい。その時に口ずさんだのが』
『"X"、だね?』
『…見破っていたのか?』
『何となくだけどね。いくら知能指数が高くてもね、所詮10歳のお子様。私たちの相手じゃないわ。』
映像はここで停止した。
「…それで?永橋主任はこの件、どうお考えですか?」
「どうって。なにが?」
「"X"という人物像。」
「思った通りのゲスですな。こりゃ、ちょっと楽しくなってきたけどね。」
「何がです?」
「恐らく、江原学殺害の依頼はXからの指令。江原チカは自分の父を本気で亡くして構わないと思っているんだ。
そして今日、お前に来た江原学からの依頼。こっちは娘を止めてほしい一心だね。」
「…どこが楽しいんだ。クソ。」
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