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「クソ。こんなのしかねぇのかよ。」
屋敷中にガソリンを撒き、バスルームで血を洗い流した。
替えの服を持って来なかったのが一番の痛手。探しても着物しか出て来ず、仕方なくそれを着用した。
火気厳禁の屋敷。一歩外に出ると、ジッポに火を着ける。
「こいつが右腕だとも思えないが、雑種の犬でもいなくなれば多少は不便だろ。」
踵を返し、後ろ向きでジッポを放る。
塀に手をかけ、飛び越したと同時に爆風と轟音が辺りを包む。
《処理、任せます》
とある場所へメールを送ると、目立つ着物で悠々と歩く。
時計に目を落とすと、ちょうど14時。
なかなかいい時間だ。
パトカー、救急車、消防車のサイレンが響く中、先程の会話を思い出す。
黒川と、男。
XはそれだけしかINEVITABLEを知らない。
あのゲスが俺を取り込んだのは五ヶ月前。
Xはそれ以前の俺を知らない。
INEVITABLEの目的。
Xは掴み損ねている詳細情報が大量にあるため、その目的を知らない。
(…さて、どうでるか…)
考えながら、動きづらい着物を洋服に変え、ターゲットでありクライアントの男の許へ向かった。
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