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行動を調べると、最近は同じ喫茶店でコーヒーを飲むのが日課になっている。 午前10時。 部下を伴い、奥のテーブル席に座る江原を見付ける。 …さすが、というべきか。 覚悟は受け取った。 「…よう。あの日以来だな。」 「…待っていた。」 「そうか。俺はお前がなかなかオイタしてくれねぇから暇だったぜ。」 「INEVITABLEから警告されたら背中に気を付けろ。それは暗黙の了解だ。」 「いい判断だ。…場所を変えるぞ。」 指定暴力団、その組長。 命の危険は遥かに高い。 部下に周りを囲まれているも、狙撃される恐れはいつだってあるし、自分の娘からも命を狙われている。 そんな状況で江原学は壁を背にせず見る場所に座っていた。 つまり、隣のテーブル席は俺の指定席。 背後に俺が座り会話をしやすいように。 それが"日課"となっていたならば、俺がそれを調べあげることも予想済み。 江原学は"時間指定"しているわけだ。それが覚悟。 「江原チカは学校か?」 「ああ。」 「…こっちだ。ついてこい。」 部下の人数を減らせとの要望に、駅入口で全員待たせると応じる。サシの話し合いにすると言ったのだ。 近くの駅に向かうと、ホームへ上がる。 駅員の目を盗み、線路脇に入って暫く歩くと、非常用出入口のドアを開け中に入る。
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