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狙われたら逃げられない。 "INEVITABLE"の名の元行動してきた俺。 素顔を見せたことで、今から殺す相手だから見られても問題なしと勘違いしているんだろう。 ククッ!喉の奥で笑うと、江原がまたキョトンと俺を見る。 「その顔、やめろ。笑いが出る。」 「……は?」 「じゃ、お前に提案がある。その前に覚悟を二つ見たいと思う。」 「…なんだ?」 「お前、本気で娘を殺す気か?」 「…止められる手段がこれしかないなら、殺す気だ。」 「"つもり"と言わなかった分、最高の解答が出たな。では二つ目。お前は部下を見切れるか?」 「………!」 「よく考えろよ。…ヒントをやろう。俺の言う部下というのは雑魚。」 「…なるほど。」 「は。理解が早くて嬉しいね。」 「見切れと言うなら見切る覚悟はある。」 五代目として、その言葉は相当な覚悟がなければ言えないものだ。 自分や先代を慕い集まってくれた部下を見切れと要求したのだから。 どんなに悪事を働いても、部下を可愛がるのが組長。その父娘のような絆を自ら断てと、むごいことを言う俺に、江原が応えた。 「よし。じゃあ提案を言おう。 お前、これからは俺の言う通りに行動しろ。条件は二つ。 情報の隠蔽は厳禁。そして、裏切り厳禁。それを俺に約束し、契約書にして血判を押せ。 その条件、俺の場合はお前に関連する情報は全てお前に話そう。限定しているのはクライアントが他にもいるということを考慮してくれ。 裏切りに関して、俺とお前は同等。 どうだ?乗るか?」
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