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「ありがと。じゃ、気を付けて行ってきてね。お土産も忘れないで?」 「分かったよ。帰国したら連絡するから。いい子で待ってろ。」 「忠犬ハチ公、出来そう。」 「バーカ。」 彼女の自宅まで車で送り、クスクス笑いながら別れ際にキスを一つ落とすと、満足した顔で歩いていく後ろ姿を眺めた。 オートロックを解除し、ドアの向こうに消えるまで見守るのが彼氏としての役目。 ♪♪♪♪♪♪♪♪ そして、瞬間的に彼氏の表情を変える。 「…もしもし。」 『俺だ。』 「…はい。」 『今から例の場所まで来てくれるか?仕事が入った。』 「タイミングのいい電話ですね。」 『ちょうど彼女を送ったとこだろ?』 「…趣味悪い。覗き見ですか。」 『たまたまだ。待ってるぞ。』 「ラジャ。」 俺に仕事を与えるボス。 …そう。俺はそういう組織の一員だ。
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