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顎に手をかけ、少し考える仕草。
何か裏読みをしているようだが、俺は表しか出していない。
さて、ここをどう乗りきるか。
「その血判書、お前もか?」
「当たり前だ。これは歴とした取引契約。破れば無効。そのとき俺はお前を殺す。
俺は約束は破らない。お前が」
「いいだろう。契約する。」
「……ハハッ!…いい目だ。」
INEVITABLE、その名は重い。
本来、他の人間に俺のことを言うな、等の条件を追加するべきなのは分かっているが、俺は常にこの二つだけ。
対等であるという認識は、よくも悪くも人間は敏感。
謙遜になるか傲慢になるか。生死を分けるのはこの分岐だけになるからだ。
口契約済ませた俺たちは、一度外へ出て、江原の部下たちと合流。
目についたファミレスに入ると、江原は部下の一人に命じコンビニへ走らせた。
数分後、戻ってきた部下から便箋とペンを取り、俺が言った内容の契約書を二枚書き、署名後血判を押す。
あまりにもスムーズな流れに、今度はこっちが驚き固まる。
「なんて顔だ。…お前の番だぞ。」
俺はINEVITABLEと署名し、押血。
それぞれを自分のポケットへしまった。
「…で?俺は何をすればいい?」
「簡単に言えば、偽装死、だな。」
江原が目を丸くしたとき、自分の携帯が連続して鳴り響いた。
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