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ここまでの話を聞けば大体読めてくる。 "無謀な申し出"ね。なるほど。 「その発案者は?」 「……副隊長、倉原心だ。」 …だろうな。 あの二人はペンタゴン一件で名を広めた。 実務的指導者、大崎蒼依。 頭脳的指導者、倉原心。 この二枚岩に、凶暴な番犬二匹。 これを崩せないならPSPは崩せない。 倉原心の無謀さは組織でも有名だ。 彼女を頭脳だけの人間と侮れば痛い目を見る。 それだけ行動派の副隊長。本部の連中は振り回されつつ彼女の予想通りの行動をし、結果的に理想の形で組織が壊滅していく。 「では、その申請とは、犯罪を未然に防ぐための何かですか。」 「ご名答。申請を許可されたことにより、犯罪が行われていなくてもPSPは押さえることが出来るようになった。 その計画があり、計画の証拠があり、相当な危険性を持つ。この三点さえクリアすれば、紅蓮は壊滅だ。」 「その証拠集めをしているんですね?」 「ああ。…分かるか?黒川。PSPは次に何を出してくるか。」 「今の対象は紅蓮。その次は別の組織。だったらまた申請される。 今度は…そうだな。 "逮捕歴のある人間がいる裏組織の強制捜査"ってとこでしょうか。」 「ハハッ!…お前は本当に勿体ない。永橋の片腕になれそうだ。」 強引さをさらに強引に。 それを引き出せる倉原心、実行に移す大崎蒼依。 確かに、その許可が降りる前に始末したいと考える連中は多いだろう。 今も震え続けている携帯がその証拠だ。
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