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負け試合を挑むのは気が引ける。だが、俺が逃げ切れると思っての"依頼"なのだろう。 そこで、俺と永橋主任とのやり取りを静観していた池辺さんが、名刺を取り出し俺へ弾く。 飛んできたそれを人差し指と中指で挟んでキャッチし、見るとどこかの電話番号が。 「…ったくどこから手に入れたんだか…」 「何?その連絡先が分かるの?」 「PSP本部隊長室直通でしょ。」 「アッタリー!」 「…目の前で掛けろってことっすか。」 二人を見れば同時に頷く。 「PSPは大きく分けて二つ、通常業務と緊急指令がある。 お前は緊急指令を狙ってPSPの前に立て。その指令は俺たちがきっかけを作る。」 それだけを言うと、電話を掛けろとジェスチャーで指示を出され、俺は溜め息を吐きながら電話を掛けた。 『…もしもし?』 「…PSP本部隊長、大崎蒼依か?」 『ああ。…お前は誰だ?』 「INEVITABLE.」 『…なるほど。で?俺に何の用だ?』 「次のターゲットはあんたと副隊長。緊急指令は出動するな。…警告はしたぞ。」 『そうは言っても、それが仕事なんだが?…受けて立とう。INEVITABLE.』 肝が座っているというか。一瞬の動揺も感じられず、むしろ電話越しに殺気が伝わった。 短い電話を切ると、ニヤニヤしながら見ていた二人を一蹴し、黙ってその部屋を後にした。
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